転倒から再スタート、8時間先のゴールを目指すが…

2024 FIM世界耐久選手権 第3戦 “コカ・コーラ“鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会 三重県・鈴鹿サーキット(1周=5.821km) 2024年7月17日(水):テストセッション                 18日(木):公式車検                 19日(金):フリー走行・公式予選1               20日(土):公式予選2・TOP10トライアル               21日(日):8時間耐久 決勝 観客動員数:56,000人(3日間合計) クラス:SST マシン:Aprilia RSV4 Factory 1100   #23 新庄雅浩/和田留佳/マッテオ・バイオッコ 予選:32番手(best:2分09秒978 average:2分10秒666) 決勝:DSQ  
2024年の鈴鹿8時間耐久ロードレース決勝レースが7月21日(日)に行われた。昨年、一昨年と8月頭だったが、今年は2週間早い開催となった。昨年、#23 Team TATARA apriliaとしては初参戦ながら、NSTクラスで3位となり表彰台に上がった。今年も、その再現を目指し、チーム一丸となって準備を進めてきた。
昨年の成績でシード権を獲得していたが、今年はFIM世界耐久選手権のSSTクラスレギュレーションでの開催となり、タイヤはダンロップのワンメイク。全日本ロードレースST1000クラスもダンロップのワンメイクで行われており、今シーズン全日本ST1000で好調な和田留佳に否が応でも期待が集まった。 もちろんエースライダーの新庄雅浩もチームを引っ張る存在だが、今シーズンはケガに悩まされており、久々のダンロップタイヤとなるため、慎重にペースを上げていった。
3人目には、2回目のテストで初来日したマッテオ・バイオッコを起用。年齢は40歳と若くはないが、その分、経験は豊富でイタリアスーパーバイクのチャンピオンを獲ったこともあるライダーだ。   レースウイークに合わせたように梅雨空けし、厳しい暑さが続いた。水曜日にテストセッションがあったが、ここで新庄が転倒を喫してしまう。大きなケガはなく、マシンも軽傷だったのはよかったが、事前テストに比べてアベレージが上がらず、マシンのフィーリングも今ひとつの状態だった。
木曜日の公式車検日を挟み、金曜日は公式予選が行われた。まずはライダーブルーの新庄がアタックし、2分11秒353で26番手。SSTクラス7番手に着けていた。続いてライダーイエローの和田が出ていくと2分09秒978をマーク。前に目標になるライダーがいたため、もう1周果敢にアタックするが転倒を喫してしまう。 ライダーレッドのマッテオは予選2回目に自己ベストを出すが、新庄のタイムを上回ることはできず、和田と新庄のタイムの平均で32番手グリッド(SSTクラス8番手)からスタートすることになった。  
土曜日のフリー走行、そして日曜日朝のウォームアップ走行で最後の確認を行い、いよいよグリッドに向かった。スタートライダーは新庄が務め、予定通り11時30分にライダーがマシンに駆け寄る耐久レースならではのル・マン式スタートで始まった。 スタート直後の混戦で、ややポジションを落としてしまっていたが、新庄は落ち着いて1台、また1台と前を走るライダーをかわしていく。ペース的には、まだ余裕があったため無理をしていなかったものの、11周目の逆バンクからNIPPOコーナーで前のライダーをかわそうとしたところ、逆バンク侵入まで前のライダーのリアがスライドし、新庄のフロントに接触。フロントをすくわれる形で転倒した新庄は、自身のマシンに挟まれながらグラベルにすべっていってしまう。新庄はメディカルに運ばれるが、右肋骨と右のスネを骨折、右手首も痛めてしまっていた。
大きく順位を落としてしまっていたが、チームはマシンを修復し、再びコースに出ていく。新庄は走ることができなくなってしまったため、和田とマッテオの2人でゴールを目指した。厳しい暑さに見舞われたが、一度もセーフティーカーは入らず、19時30分過ぎにトップがゴールしチェッカー。#23 Team TATARA apriliaも154周し、チェッカーを受けたが規定集回数に届かなかった。さらにレース後の車検でレギュレーション違反が発覚し、正式結果では失格という結果となってしまった。

新庄雅浩コメント  

 

「チームのみんなで何とかマシンを良くしようと試行錯誤していたのですが、良い方向に進みませんでした。アベレージも上げられず、限界域が低い状態だったので転倒も多くチームに負担をかけてしまいました。決勝も冷静にマージンを持って走っていたのですが、前のライダーがハイサイド気味になったところ接触転倒してしまいました。完全に負け試合になってしまいましたが、留佳の成長、ステディに走ってくれたマッテオには感謝します。結果を出せなかったにも関わらず応援してくださった皆様には逆に励ましていただきました。この経験を活かして、チームにとって、さらに成長できるように前を向いていきます。多くの応援ありがとうございました」

和田留佳コメント

 

「チームを引っ張る走りをすることが目標でしたが、予選で大転倒してしまい良い流れを作ることができず、とても悔しいです。決勝でもチームに頼りっぱなしでしたが、何とかチェッカーまでマシンを運ぶことができ、駆けつけてくださったスポンサーやファンの皆さんが少しでも喜んでくださればうれしいですね。結果は残すことはできませんでしたが、今年の鈴鹿もレーシングライダーとして大きな糧になりました。シーズン後半戦は、2レース制のオートポリスからなので良いレースにしたいと思っています。引き続き応援よろしくお願いいたします」

 

 

マッテオ・バイオッコ コメント

 

「新庄の不運なクラッシュでレースが変わってしまった。チームは懸命にマシンを修復してくれたので、再スタートすることができました。ボクと留佳で完走できたことを誇りに思います。鈴鹿8耐を走るチャンスをくれたチーム、アプリリアに感謝致します。将来は、もっと強くなって鈴鹿に戻ってきたいですね」

 

井上哲悟 チームマネージャー  

 

 

「我々のレギュレーション解釈に誤りがあり失格となりました。私のマネジメント不足により、このような事態となってしまい、ご支援いただいているスポンサー様、応援してくださった皆様、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。決勝では序盤に転倒がり、新庄が負傷。マシンを修復しコースに復帰しましたが、転倒のダメージからトラブルが発生し、数度イレギュラーなピットストップもありましたが、留佳とマッテオがゴールまでマシンを運んでくれました。今回の結果を反省し、全日本後半戦と来年の鈴鹿8耐に向けて精進して参ります。ご支援ご声援ありがとうございました」

 

 

 

中野誠司 チーム代表  

 

 

「まずは失格になったことをお詫び申し上げます。新庄のアクシデントから、マシンを短時間で修復してくれたメカニックとエンジニア、2人で走り切った留佳とマッテオ、そのライダーを一生懸命ケアをしてくれたスタッフ、チームとしては全員素晴らしい仕事をしてくれました。レギュレーション解釈の相違によって失格となってしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです。結果を真摯に受け止め、全日本後半戦、そして来年の鈴鹿8耐に向けて万全な準備を行って参ります。今年の鈴鹿8耐も、たくさん応援をいただき、ありがとうございました」