歯車が噛み合わなかった2025 鈴鹿8耐

2025 FIM世界耐久選手権 第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会

2025 FIM世界耐久選手権 第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会
2025 FIM ENDURANCE WORLD CHAMPIOMNSHIP SUZUKA 8HOURS
三重県・鈴鹿サーキット(1周=5.821km)
2025年7月30日(水):テストセッション
2025年7月31日(木):公式車検
2025年8月1日(金):フリー走行・公式予選
2025年8月2日(土):フリー走行・TOP10トライアル
2025年8月3日(日):8時間耐久 決勝
観客動員数:61,500人(3日間合計)
クラス:SST マシン:Aprilia RSV4 Factory 1100
#19 和田留佳/綿貫舞空/マッテオ・バイオッコ
予選:35番手(best:2分09秒837 average:2分09秒872)
決勝:45位(152周)

2025 FIM世界耐久選手権 第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会

 鈴鹿8時間耐久ロードレースが今年も三重県・鈴鹿サーキットで開催された。昨年は、パリ・オリンピックもあり、7月21日と開催時期が早かったが、今年は、8月3日に決勝レースが行われた。

2025 FIM世界耐久選手権 第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会

 今年は、4月のトライアウトレースに出場し、和田留佳が2位に入り無事に参戦権を獲得。全日本ロードレース選手権ST1000クラスに加え、アジアロードレース選手権(ARRC)ASB1000クラス、イタリア選手権(CIV)SBKクラスにスポット参戦し、チーム力を高めてきた。6月上旬、中旬と2度、鈴鹿で合同テストがありマシンセットを進め、レースウイークを迎えた。

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 2025年の鈴鹿8耐には、和田留佳をエースに、昨年に引き続きマッテオ・バイオッコ、新たに綿貫舞空を起用。綿貫は、トライアウト前からチームに合流しマシンに慣れてもらった。マッテオは、合同テストに参加できず、レースウイークからの走行となっていた。

2025 FIM世界耐久選手権 第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会

 7月30日(水)にテストセッションが行われ、まずは和田がコースに出ていく。その後、綿貫が走ると、昨年の鈴鹿8耐以来、1年振りに鈴鹿を走るマッテオがコースインする。徐々にペースを上げて行ったマッテオが逆バンク(コーナー)にさしかかったとき他車に接触されてしまい転倒。マッテオにケガはなかったが、マシンがダメージを受けてしまう。もう1台のマシンで綿貫がコースインするが、シケインで転倒。こちらはライダー、マシン共に軽傷で、再スタートしてピットに戻ってくる。初日は、2度転倒があったものの、走行時間も長くマシンセットを順調に進められていた。

2025 FIM世界耐久選手権 第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会

 レースウイークはとにかく暑く、気温は37度、路面温度は65度以上という厳しいコンディションで行われた。木曜日の公式車検日をはさみ、金曜日に行われた公式予選では、最初に出ていった和田が転倒。すぐにピットに戻るとメカニックがマシンを修復。コースに戻った和田は2分09秒837をマーク。綿貫も、これに続き2分09秒906を和田と、ほぼ同タイムを記録。合算タイムは、2分09秒872となり、総合35番手、SSTクラス8番手につけた。

2025 FIM世界耐久選手権 第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会

 土曜日のフリープラクティス、日曜日朝のウォームアップ走行で最終確認を行い、グリッドに向けてスタート進行が始まる。スタートライダーは和田が務め、カウントダウンから、マシンにライダーが駆け寄るル・マン式スタートで決勝が始まった。和田は、エンジン始動に手こずり出遅れてしまう。和田は落ち着いてマシン状況を確認し、徐々にペースアップしポジションを上げていく。するとオフィシャルから「ライトが点灯していないからピットインして直すように」と指示が出る。本来ならばルーティンのピットインで確認すれば良いのだが、オフィシャルのミスで予定よりも早くピットに入ることになってしまう。ラップタイムの速い和田が長く走った方が良い状況だったのだが…。

2025 FIM世界耐久選手権 第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会

 予定よりも早くコースインした綿貫は、タイムロスを挽回しようとプッシュし始める。これが裏目に出てしまいシケインで転倒。すぐにピットに戻りマシンを修復。綿貫が、そのままコースに戻ると、いいペースで走行。マッテオ、和田とバトンをつなぎ、綿貫の走行に入るが、今度は逆バンクで転倒を喫してしまう。綿貫にケガはなかったが、マシンのダメージは大きく修復に時間がかかってしまう。

2025 FIM世界耐久選手権 第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会

 何とかマシンを修復し、マッテオが2スティント目に入っていくが、すぐにヘアピンでマシンが止まってしまう。オフィシャルの手でマシンは回収されるが、ここでも大きく時間をロス。それでもチェッカーフラッグを受けるためにチームはマシンを直し、和田がコースに戻っていく。2度セーフティーカーが入るなど転倒も少なくなく、決勝は、厳しいコンディションだったことが分かるだろう。最後は、綿貫がチェッカーフラッグを受け152周を周回。完走扱いには10周ほど足りず総合45位、SSTクラス15位という結果となった。

和田留佳|ST1000ライダー|Team TATARA

和田留佳|ライダー

「エースライダーとしてチームを引っ張っていこうと思っていましたが、うまくまとめることができず悔しい結果になりました。オフィシャルのミスや転倒、トラブルがあり、すべての歯車が少しずつズレてしまっていました。その歯車をしっかりかみ合わせるのもエースライダーとしての役割だったと思いますし、それを全うできなかったことが悔しいです。もっと自分自身でやれることがあったはずなので、今回の経験を無駄にせず、全日本後半戦をしっかり戦い、来年の鈴鹿8耐を見据えていきたいですね。応援ありがとうございました」

綿貫舞空|ライダー|Team TATARA

綿貫舞空|ライダー

「今年はTeam TATARA apriliaで走らせていただき、本当にいろいろなことを学ばせてもらいました。昨年EWCにフル参戦して、転倒しない走りを身につけたつもりでしたが、決勝で少しプッシュしようとした際、フロントが切れ込んでしまい転んでしまいチームに迷惑をかけてしまいました。少しでも挽回しようと、そのまま出ていきダブルスティントをこなし、クラス5番手が見えていました。その後、残念ながらボクが2度目の転倒を喫し、マッテオがヘアピンでストップしてしまいましたが、最後まで走り切ることができました。チーム、そして応援してくださった皆さまに感謝いたします。ありがとうございました」

マッテオ・バイオッコ|ライダー|Team TATARA

マッテオ・バイオッコ|ライダー

「1年振りに鈴鹿に来ましたが、今年は本当に暑く厳しいコンディションでした。水曜日に走り始めてすぐに他車に接触されて転倒してしまいましたが、ケガがなかったのは不幸中の幸いでした。予選も自分自身の仕事を確実にこなすことを考えて走っていました。決勝もとにかく暑く、ライディングに集中していましたが、ボクの走行のときにヘアピンで止まってしまいました。その後、マシンは回収され、留佳と舞空がチェッカーまで運んでくれました。結果は残念でしたが、みんなと走れてよかったです」

井上哲悟|チーム監督

「水曜日のテストセッションはマッテオが他車に接触されて転倒したり、舞空がシケインで転倒したりしましたが、ラップタイムも安定していましたし、しっかり立て直せていました。しかし、金曜日の公式予選から少しずつズレが生じていました。予選タイムは悪くなかったのですが、マシン面でのマネジメントが足りず、ライダーに負担をかけてしまっていました。決勝では、オフィシャルのミスもありましたが、それ以前に自分のマネージャーとしての準備が足りていなかった部分が大きかったと猛省しております。マネジメントを一からやり直して表彰台に戻れるようにしていきます。今回も多くの皆さまが応援に駆けつけてくださり励みになりました。ありがとうございました」

中野誠司|チーム代表

「スポンサー、関係者の皆様のおかげで今年も鈴鹿8耐を戦えたことを感謝申し上げます。決勝は、転倒やトラブルが重なり、思うようなレースができず悔しい結果となりました。その中でスタッフは、マシンの修復を素早く行い、最後まで走れる状態にしましたし、サインボード出しやライダーケアなど酷暑の中で休まずにバックアップし続けました。ホスピタリティ担当スタッフの動きもよく、チームとして成長を感じさせました。ライダー3人も転倒、トラブルがあった中で、チェッカーまでマシンを運んでくれました。結果は残念でしたが、全日本後半戦、そして来年の鈴鹿8耐に向けて進んでいきます。引き続き応援よろしくお願いいたします」