和田留佳がウエットで快走し8位
芳賀瑛大は最後尾から12位まで追い上げる

2025 MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第7戦<br />
第57回 MFJグランプリ SUPERBIKE RACE in SUZUKA|Team TATARA

2025 MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第7戦 第57回 MFJグランプリ
SUPERBIKE RACE in SUZUKA
三重県・鈴鹿サーキット(1周=5.821km)
2025年10月25日(土):公式予選 天候:雨 コース:ドライ
2025年10月26日(日):決勝  天候:雨 コース:ウエット
観客動員数:13,300人(2日間合計)
ST1000
#10 和田留佳
予選12番手(タイム:2分09秒917)決勝:8位
シリーズランキング:10位
#32 芳賀瑛大
予選24番手(タイム:計測出来ず)決勝:12位
シリーズランキング:16位

2025 MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第7戦 第57回 MFJグランプリ SUPERBIKE RACE in SUZUKA|Team TATARA

 2025年シーズン最終戦を三重県・鈴鹿サーキットで迎えた全日本ロードレース選手権。今回は事前テストはなく、木曜日の特別スポーツ走行からレースウイークが始まった。鈴鹿のスプリントレースは今季初となるため、鈴鹿8耐、そしてオートポリス、岡山と戦ってきたデータから、今回のコンディションに合うであろうセッティングをチームは考え、そこからアジャストしていった。

 しかし、1本目走行開始早々、芳賀瑛大が130Rで転倒を喫してしまう。高速コーナーだけに心配されたが、ケガはなく、マシンもすぐに修復し、2本目を走るが、やや調子を崩してしまう。一方、和田留佳は、順調にタイムを縮め、初日は2分10秒台、2日目には2分09秒台をマークするが、そこから先が行き詰まっていた。

2025 MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第7戦 第57回 MFJグランプリ SUPERBIKE RACE in SUZUKA|Team TATARA

 週末の天気予報は下り坂だった。土曜日も朝方まで雨が降っていたが、走行が始まるころには止み、路面も徐々に乾いていった。ST1000クラスの公式予選は、最後に行われたこともあり、路面はほぼドライ。ただ、いつ雨が降ってきてもおかしくない状況だったため、セッション序盤の勝負になった。和田は、速いライダーについていこうとコースインしたが、うまくポジションが取れず目標タイムに届かなかったが、それでも2分09秒917と、このレースウイークで自身最速タイムを記録した。一方、芳賀は、コースイン直後の最終コーナーでクラッシュ!  

大きなケガはなかったが、タイム計測ができなかったため、嘆願書で決勝に進出。最後尾24番手グリッドからスタートすることになっていた。

2025 MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第7戦 第57回 MFJグランプリ SUPERBIKE RACE in SUZUKA|Team TATARA

 日曜日は朝から雨模様となり、ウォームアップ走行が、このレースウイークで初めてウエットコンディションとなった。和田は、ウエットでペースをつかみかねていたが、ちょうど芳賀が現れると、うまくついていく。芳賀は、ウエットの感触はよく、すぐに10番手タイムをマーク。これに引っ張られた和田も11番手タイムを記録。マシンセットもさらに変更し決勝に挑んだ。

2025 MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第7戦 第57回 MFJグランプリ SUPERBIKE RACE in SUZUKA|Team TATARA

 ウエット宣言されたレースは、2周減算の10周で争われた。好スタートを切った和田は、オープニングラップで8番手までポジションアップ。変更したセッティングもうまくハマり、ウォームアップ走行よりもハイペースで走れていた。5周目には7番手まで上がり、さらに前を追っていたが、ハイペースが祟ったのか、リアに問題が出てしまいペースダウン。2台にかわされるが、前で1台転倒があったため8位でフィニッシュ。シリーズランキングは、昨年と同じ10位となったが、2025年はレベルが上がっただけに前進したと言っていいだろう。芳賀は、最後尾から着実にポジションを上げ12位でチェッカーフラッグを受けた。

和田留佳|ST1000ライダー|Team TATARA

和田留佳|ST1000ライダー

「走り始めからフィーリングは悪くなく、マシンの感触も良好でした。ただ、なかなかタイムを縮めることができず、自己ベストは9秒9止まり。予選では場所取りを少し失敗してしまい、スローペースのライダーの後ろに入ってしまったのが悔やまれます。マシンのセット自体は岡山からの流れを踏まえて組んでおり、足回りや電気系の方向性も悪くなかったと思います。雨の決勝はスタートが決まり、序盤はいい流れで走れました。朝のウォームアップ走行よりも約3秒速く走れていましたが、その影響からかリアが突然すべり始め、ペースを維持するのが難しくなりました。よかった部分と課題の両方が見えたレースでした。今年は、上位陣のレベルが非常に高く、去年以上の激戦でしたが、昨年よりも確実に戦えるようになったと感じました。SUGOのノーポイントやオートポリス中止は痛かったですが、アジア選手権やイタリアでの経験を含め、今年1年は大きな成長につながるシーズンでした。この1年間支えてくれたチーム、スポンサーの皆様、そしてチームメイトの芳賀選手にも心から感謝しています。来年は今年積み重ねた経験をさらに磨き、より強い自分を見せられるように頑張ります」

和田留佳|ST1000ライダー|Team TATARA

芳賀瑛大|ST1000ライダー

「鈴鹿最終戦は130Rでの大クラッシュから始まりました。そこからリズムを崩してしまい、なかなか立て直すことができませんでした。予選でもアウトラップに最終コーナーで転倒してしまい、ノータイム。嘆願書で決勝を走れましたが悔しい結果となりました。決勝日はウエットコンディションになり、フィーリングはよかったので、最後尾からの追い上げを狙いました。決勝ではスタートが決まり、前を追いかけましたが、序盤は、水しぶきの影響で2、3周は様子を見る展開に。その間に前との差が広がってしまいました。それでも前の選手を追っていましたが、なかなか追いつけず悔しい展開となりました。今シーズンを振り返ると、本当に簡単にはいかない一年でした。前半戦はトラブルが多く苦しい時間もありましたが、チームが一つひとつ問題を解明してくれたおかげで、最後まで戦い抜くことができました。この場を借りてチャンスを与えてくれたチーム、サポートしてくださったスポンサーの皆様、そして家族に心から感謝申し上げます。満足のいく結果は残せませんでしたが、確実にライダーとして成長を感じられるシーズンでした。まだまだ自分の本領を発揮しきれていないので、来年はさらに力をつけて、継続的によい成績を残せるよう努力していきます」

井上哲悟|チーム監督

「今大会は事前テストがなかったため、8耐やオートポリス、岡山でのデータをすり合わせて鈴鹿に持ち込み、そこからアジャストしていきました。和田は想定通りのタイムの上がり方で、9秒台に入れるなど着実に前進しましたが、その先でもう一歩詰めきれず課題も残りました。日曜日から雨になり、朝のウォームアップ走行では、ウエットに苦手意識を持っていた和田に対して、ウエットが得意な芳賀が前を走ることでチーム内で良い刺激が生まれ、決勝に向けたセット変更もいい方向に作用しました。和田は、決勝でベストな走りを見せ、芳賀は最後尾からの追い上げでしっかりと結果を残し、2人ともシーズンを通して確実に成長した姿を見せてくれました。チームとしては、もう一段階ステップアップする必要を感じています。昨年にも増して激戦のシーズンでしたが、アジアやイタリアのレースに参戦し、イタリアのチームとの交流・情報交換を通じて、確実にレベルアップできた1年でもありました。まだ足りない部分は多いものの、多くの方々の支えを感じるシーズンでもあり、ホスピタリティブースにはたくさんのお客様が訪れ、レースを間近で見ていただける環境も整ってきました。この経験を糧に、来シーズンに向けてさらにパワーアップしていけるよう、チーム一丸となって準備を進めていきます」

中野誠司|チーム代表

「全日本ロードレース選手権最終戦鈴鹿まで、2台体制で無事に戦い抜くことができました。これもひとえに、日頃よりご支援・ご声援を賜っているスポンサー、関係者、ファンの皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。最終戦では、和田が8位、芳賀が最後尾からの見事な追い上げで12位という結果を残してくれました。悪天候の中、両ライダーとも最後まで集中力を切らさず、力強い走りを見せてくれました。また、転倒後の迅速なマシン修復や、天候の変化に即応するセットアップ対応など、チーム全体としても大きな成長を実感できるシーズンとなりました。来シーズンの体制は現在調整中ですが、活動は継続してまいります。引き続き変わらぬご声援のほど、よろしくお願いいたします」